協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.13 筋膜リリースとストレッチングって同じ?
答えは、もちろん、「同じではない。」。
では、どう違うのでしょう。
その答えはズバリ!
「筋膜リリースは筋膜をリリースするものであり、ストレッチングは筋肉の伸展性を高めるもの。」ということです。
それは、筋トレが筋力を高めるものであり、ジョギングは有酸素能力を高めるものであるというのと同じ。
時々「ジョギングをやって足腰を鍛える。」と言っている人がいますが、相当運動不足や足腰の弱い人だと、ジョギングをすることで、初期の段階では足腰の筋力が強化されるでしょうが、それ以上ではありません。
筋力が高まるということは、筋肉の線維が太くなるとか、力を出す筋肉の線維の数が増えるというメカニズムです。
有酸素能力が高まるということは、心臓の拍出量が増えるとか、筋肉での酸素の利用能力が増えるということです。
メカニズムが違います。
こうした原則を、特異性といいます。
筋膜をリリースするということは、筋肉の線維の束を包んでいる膜を軟らかくして、伸縮性を良くして、筋肉の線維に張り付いた状態を解除するというのが、そのメカニズムです。
ストレッチングによって、筋肉の伸展性が改善され、関節可動域が大きくなるということは、筋肉を伸展したときに自動的に働く、伸展反射の作用を変化させるということです。
つまり、筋肉は伸ばされると縮もうとする。これが伸展反射。
この反射が即座に作用すると、筋肉はそれ以上伸びなくなります。この反射が相当伸ばされてから作用するように変化したら、関節可動域も大きくなります。
これが、筋膜リリースとストレッチングのメカニズムの違い。
もちろん、ストレッチングによって、少しは筋膜のリリースも起こります。
しかし、それはストレッチングの副産物であり、その効果は限られています。
もちろん、筋膜リリースを行ってから、ストレッチングを行うと、ストレッチングの効果も高まります。
同じく、筋膜リリースを行ってから筋トレを行うと、筋トレの効果が高まる可能性は高いです。
こうした場合に、ストレッチングや筋トレを十分に行うためには、筋膜リリースを短時間で効率的に行う必要があります。
効率の良い筋膜リリースは、色々な運動や施術の効果を高めるのに、大いに役立ちます。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)