協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.19 旧ソ連の遺産
今はロシア。その昔は、ソビエト社会主義共和国連邦。通称ソ連。
私の様なかなりの年輪を重ねた者には、ソ連という名称が、まだ馴染みがあるような気もしないではない。
そのソ連は、アメリカと宇宙開発のデッドヒートをした。先に有人宇宙飛行船を飛ばしたのはソ連。これがアメリカに物凄い衝撃を与えたのだということは、当時子供だった私は、まったく知る由もなかった。結局、先に人間が月に降り立ったのは、アメリカ。
この宇宙開発の中で、人間に関する研究が、様々行われました。特に、ソ連が明らかにしたり開発したものが、注目されました。それらは、医科学的に、スポーツ科学的に、貴重な研究の結果でした。
その中でも、アクティブレスト(積極的休息)の概念は、とても興味深く、また大切な意味を含んでいますね。特に、今の多くの人たちが抱える慢性疲労に対して、示唆を与えてくてるものです。
旧ソ連が行った実験というのは、以下の様な内容です。
例えばアームカール。
〈パターン1〉まず右腕でアームカールをする。その後、レスト(休息)を入れて、再び右腕でアームカールをする。
〈パターン2〉まずアームカールをする。その後、左腕で何かの軽い運動をする。そして、再び右腕でアームカールをする。
結果は、パターン2の方が、再度アームカールをした時のパフォーマンスが良かった。
要するに、ただ休むよりも、別の何かをやった方が、よく回復したということです。
こうした研究結果から、スポーツの世界では、練習や試合の後、クールダウン(ウォームダウンとも言います)として、軽いジョギングなどを行うようになりました。
疲れを癒すためには、ただ休むよりも、何か他のことをしてから休む。これが効果的だということですね。
この時に、身体へ刺激を与えることで、疲労の回復を、より促進することができます。それは、単なる気晴らしを超えた、疲労回復効果です。
疲れた時、すぐにスマホで動画を観て気晴らしよりも、心地よく身体を動かすとか、心地よい施術を受けるとか。
慢性疲労対策の重要アイテムですね。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)