協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.22 体力の構成要素
体力を英語で表すとfitnessとなります。つまり適応性。環境や作業や活動などに適応するということ。
スポーツだと、例えばサッカーをプレイするという活動に適応できていて、その結果良いパフォーマンスを発揮できると、体力が備わっているということになります。
つまり、どの活動や環境に適応するのかによって、fitnessつまり体力は様々存在する。その環境下において、その活動を充分に遂行することができる状態かどうか。
スポーツで言うと、その種目において、目的とする結果を得るために、高いパフォーマンスを発揮するというタスクに適応する能力と言えるでしょう。
つまり、何のための、どんな目的を達成するための体力かということですね。やみくもに体力を強化するぞと頑張っても、そこで養った体力が、何かの目的のために効率的に役立つかと言えば、そうとは限らないのですね。
1970年代から、体力について考えるときの定番の分類として、体力の構成要素というものがあります。例えば、体力テストをするときの、測定項目がこれにほぼ相当します。筋力,筋持久力,全身持久力,瞬発力(パワー),柔軟性,平衡性,敏捷性,巧緻性など。
もちろん時代が下るにしたがって、こうした項目の中身も、より研究されて進んだ内容となっています。
体力テストを行って、これらの要素の現状を評価して、目的を達成するにはどのように改善が必要かを吟味したうえで、トレーニングを行うのですね。
一方、各要素がどういった水準にあるかということと共に、各要素がテストにおいて、どれくらい発揮されたのかということも、テスト結果を左右します。
体力が発揮される際に、生理的限界と心理的限界があるとされています。生理的限界とはその人が持っている体力の要素の限界値そのもの。ところが、誰であっても、限界値を出し切ることはほぼ不可能、極めてまれな状況を除いて。その都度、体力の発揮を制限する要因が作用している。その結果の限界値を、心理的限界といいます。心理的限界はその時折で変化します。やる気の水準だったり、緊張だったり、集中力だったり・・・・・・。
体力をどのレベルまで発揮できるかというのは、心理的要因だけによって制限されるのではなく、フィジカル面の状況やコンディションによっても制限されています。
疲労はその最たるものですし、例えば筋肉や靭帯のその時の状態も。筋肉の温度であったり、それこそ筋膜の状態であったり。
トレーニングして体力の各要素を強化する以前に、現有の体力をどれくらい発揮することができるか。それも心理的要因以外においても、身体的要因を改善すると、体力の発揮レベルを高くできる。
つまり、多くの人たちは、自分で思っているよりも高いレベルの体力を持っている。
そう考えても間違いではないということですね。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)