協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.28 手はいつも軟らかく
人間の手、とても素晴らしいですね。
親指とその他の四本の指が向き合う手の構造をしているのは、お猿さんたちと人間だけですね。この手の構造を持っているから、手の働きが飛躍的に進化したとされています。
文字を書くのも、親指と他の四本の指が向き合って使えるから、可能なのですね。
改めて言うまでもなく、人間が創造した無数の機械などは、人間のこの手の構造だからこそなのだということは、既に定説となっています。
ヒトの手は、実に多様な動きをします。体の中で、顔と手が、最も複雑な動きをします。
それだけに、細かい筋肉が、顔にも手にもありますね。
と同時に、顔と手は、感度が抜群に高いですね。敏感に、色々な刺激や情報を感受しています。
だから、顔と手に関係している脳の領域は、抜群に広いのですね。
ということは、顔はもちろん、手の動きや手が感じとる刺激や情報は、脳に対しての影響が大きいということですね。
これはとても大切なポイントです。
手の状態がどうかによって、脳への影響が変わるのですね。
もし手が硬くなっていたら、脳に送られる刺激や情報の量は減少します。そうなると、脳は入力される刺激や情報によって活性化しますので、脳の働く水準は下がっていきます。
手と脳の深い関係。
色々な人と握手すると、その人ごとに手の感触がちがうことに驚きます。
手の形や大きさはもちろん、温かさや硬さ・軟らかさ。
そして、相手の手の感触によって、自分の中に起きる反応が変わるのに気づきます。
パソコン作業全盛の今、手先指先を使っているように思いがちですが、その使い方が画一的になっています。それが証拠に、長時間キーボードを打つと、手や指は硬くなってしまいます。字を書くにも、ワープロがメインです。かつては鉛筆やペンで文章を書いていましたから、それと比べると、手の動きのパターンが激減です。その他にも、日常生活の中での手作業のバリエーションは、減る一方と言ってよいでしょう。
子どもたちにとっても、屋外や自然の中での遊びが、これまた激減しているということは、様々な物に触れる機会が激減。その結果、脳が受ける刺激や情報が激減。
子どもの知的発達や情緒的発達にとって、マイナス要因であるという指摘もされています。
手が硬くなる。意外に気づいている人は少ないでしょうが、生活の中に潜む、健康や発育発達など、幅広い領域に関係している、大切なポイントなのですね。
手を軟らかくするメディセル療法。
広くお勧めです。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)