協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.33 肩こり、その地盤とは?
ごくたまに「私は肩こりを感じたことがない。」と言われる人おられますね。でも、ほとんどの方々は、肩こり経験者でしょう。もちろん、その頻度や程度は様々。また、肩こりを感じる場所も色々です。

「肩」というのは、正確には解剖学的な肩関節を指すのですが、肩こりはけっこう広い範囲で起きますね。首も含めて。
肩にも当然ですが、表層筋と深層筋があります。
肩と言われるパーツには、肩関節を構成する骨、つまり上腕骨,肩甲骨,鎖骨があります。さらに関連して、頸椎,胸椎,胸骨,肋骨などがあります。
したがって、関節の数も多いです。

肩関節をつなぐ、腱板もありますね。
これらの組織のどこかで、硬縮を始めとして、何かの不具合が起きたりすると、肩こりとして感じるわけですね。
肩関節は股関節と並んで、最も動きの大きい関節です。私たち人間は、上肢を動かして、日々の生活を送っています。肩の関節には、しょっちゅう過剰な負荷がかかると言っても、過言ではないでしょう。
また、精神的な緊張やストレスなどによっても、肩に関連する筋群は、慢性的な硬縮が発生します。
もっとも、筋肉や腱だけが肩こりの起こりに関わるのではなくて、神経や場合によっては内臓も。
ともあれそこで「母さんお肩をたたきましょ~。」と、昔からトントンしますね。
筋肉を解すために。
もちろん、今では、筋肉そのもののみならず、筋膜さらに靭帯や腱を包む膜などにリリースをかけると、さらにさらに有効な訳ですね。
加えてここで注目しておきたいのが肋骨。肋骨は呼吸のたびに上下に動きます。息を吸う時に、肋骨を引き上げるのが肋間筋です。

そして、肋骨を被うように、多くの筋群と骨が被さっています。
ということは、呼吸するごとに肋骨が良く動くと、被さっている骨と筋群も下から持ち上げられるように、動くということ。
動かされると、それらの筋群は硬縮しにくいのは言うまでもない。血流も促進されます。
という訳で、肩こり予防には、肋間筋を解しておくと良いということですね。
肋間筋への筋膜リリース、どうぞご活用ください。
呼吸がゆったりとできると、交感神経優位の状態も緩和されて、精神的な緊張も和らぎます。

筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)