協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.34 X脚とO脚
実は、ほとんどの人が、X脚とO脚を含めて、脚のラインが整っていない。こう言うと意外に思われますか?

脚のライン、正確に表現すると脚の骨格のアラインメントといいます。骨の配列、並び方ですね。では、理想的な脚のアラインメントとは。これに一番近いのは、骨格標本のアラインメント。つまり、病院や整骨院などで時々見る、いわゆる骸骨の標本。たいていは上から釣り下がっています。
あの、骨の並び方ですね。骨の並び方に、ずれが生じていない。

ではどうしてズレが生じるのか?
その原因は、一言で言いますと、軟部組織の緊張と硬縮。
骨はそれだけでは立つことはできません。周りから支えられないと、立たない。
骨を支えて、骨を動かすのは、筋肉や靭帯などの軟部組織。軟部組織というくらいだから、本来は軟らかい組織です。ところが、体のあちこちの軟部組織が、緊張しっぱなしになったり、その結果硬くなる、つまり硬縮してしまったりしています。そして、その緊張や硬縮がアンバランスであったり歪んでいたりするので、その結果骨の位置がずれてしまう。

骨の並びがずれることを、マルアラインメントといいます。
X脚やO脚は、代表的なマルアラインメントです。
個々の骨の位置がずれると、どうにかして周りから支えないと、倒れたり崩れたりします。周りの軟部組織は、不必要な緊張を強いられながら、骨を支えるという状態になっているのです。慢性的にこうした状況だと、あちこちの軟部組織に硬縮や循環の悪さなどが起こって、炎症や疼痛などを引き起こします。
また、骨格が歪んだ状態だと、骨格の籠の中に配置されている内臓は、位置がずれたり形状が歪んだりしています。当然、こうした状態では、内臓の本来の働きが損なわれます。
さらに、神経の通りも歪められたり、圧迫されたりしてしまいます。
これらはすべて、健康状態や本来の体の動きを損ねる要因となります。
例えば、高齢者のADLや歩行機能などにも、マルアラインメントは影響大です。
という訳で、X脚やO脚は、単にスタイルやルックスを良くする目的のみならず、是非改善したいですね。

X脚もO脚も、下肢だけではなくその他の部位の骨格にも、マルアラインメントがあります。特に、脊柱には必ずと言ってよいほど、ずれがあるでしょう。したがって、X脚やO脚を改善するためには、脊柱のアラインメントにも目を向けることは必要です。
筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)