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協会コラムVol.39 現代日本人の根底にある憂い

協会コラム ~だから、Medicell~
Vol.39 現代日本人の根底にある憂い

 みなさんよくご存じですが、日本人の健康の問題は深刻ですね。平均寿命は世界一ですが、病気や障害を持って生活している人たちがたくさん。精神的な問題を持つ人も増えています。正確に言うと、増える一方。

子どもの心の健康も、深刻さを増していますね。
こうした状況の原因や背景には、色々な事があります。
これからお伝えしたいのは、現代日本人の身体に起きている、意外に気づかないひとつの現象です。

現代から時代を遡って明治時代、さらに遡って江戸時代。その時代ごとに遺されている写真や肖像画や、江戸時代では浮世絵などを観てみましょう。
「昔の人の方が、身体に軟らかさ(柔らかさ)を感じる。」
このコラムでも、トップアスリートの筋肉は、驚くほど軟らかいことをお伝えしました。まるでマシュマロや赤ちゃんや身体みたいに。

ハイパフォーマンスの必要条件が、この格段に軟らかい身体
そして、身体の専門家が指摘するところによると、特に江戸時代では、庶民に至るまで軟らかい身体をしていたと。
確かに、時代が下るにつれて、それ以前には無かった疾病が増えてきていたり。運動能力に関しても、江戸時代の飛脚に象徴されるように、驚異的な距離を日常的に移動していたり。

こうした時代の経過に伴う健康状態や能力の悪化や衰えの原因が、時代と共に身体が硬くなっていったことにあるとは、身体や運動の革新的な研究者などが指摘するところです。
私たち個人が生まれてからのプロセスを考えてみても、当然ながら赤ちゃんの時はとても身体は軟らかく、長ずるにつれて、硬くなっていきます。

運動能力も、筋力や有酸素能力などは別として、純然たる身体の動きに関しては、小学校高学年や中学生期では、とても良い動きをしますが、20代後半を過ぎると、動きの質が低下していき、年齢と共に衰えて高齢期を迎えます。
健康状態については、言うまでもないでしょう。
こうした変遷は、明らかに、身体の軟らかさ・硬さの変化に同調したと考えられる訳です。

身体が硬くなるプロセスは、本人が気づきにくく、慢性的に進行します。
歳と共に身体のコリを訴える人たちが急増しますね。痛みを訴えるケースも増える。そうした時に、「体が硬くなった。」と実感したり。時々、前屈をやってみて感じるとか。
しかし、身体の軟らか・硬さは、私たちの身体の全組織に起きるものです。
身体組織の軟らかさ・硬さに直結した概念が「身体のゆるみ」です。ところがこの「ゆるむ。」、そして「ゆるめる。」について、まちがった理解や、浅い捉え方がもっぱらになってしまっています。
実は、人間の健康や能力は、身体のゆるみと切っても切れない関係にあるのです。それは動物も同じです。

筆者:竹内 研(一般社団法人日本メディセル療法協会理事・学術委員長)

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